寺報「徳風」第24号

2017年(平成29年)3月1日発行

「はちす」

幽霊のはなし

人間をだます狐がおるのではない。  
       だまされる人間がおるだけだ。
                                         曽我量深
  この言葉を聞く度「迷う幽霊がいるのではない。幽霊は迷うものだと思っている人間がいるだけだ」と連想してしまう。▼幽霊は柳の下に青白い顔で両手を下げ「うらめしや〜」と出て、やはり足はない。江戸時代のお坊さんが「人間の無明性」を象徴的に描く為、足の無い幽霊を考え出したともいわれる。▼幽霊はこの世に未練を残し、あの世にも行けず彷徨って地に足が着かない。幽霊とは我々の姿だ。どこへ向かって生きていけばいいのかさえわかっていない相である。▼我々の行く末が幽霊ならば、どれだけ長生きしても報われない。幽霊が迷うのではなく、迷った我々の心が死者を幽霊にしてしまうのである。▼この迷いの深さ故、如来は浄土を建立された。やはり如来の光に遇わなければ人生闇の中だ。それだけに如来のご恩はありがたい。 (釈 大攝)

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